２．『SiLKROAD ONLINE』の舞台について
◇「中国四千年」――などと一般的に言われもする、悠久を思わせる中国大陸の歴史。
はたしてその歴史の中で、『SiLKROAD ONLINE』の時代背景はいつごろの設定となっているのでしょうか？
一応、公式での紹介は「7世紀の頃のシルクロードの世界を再現することを基本にして」となっています。……が、はたしてそれは本当なのでしょうか？ 本当だとしたら、それの裏付けとなる事実は存在しているのでしょうか？
まずはごく簡単に、ぱぱっと歴代王朝の流れを表にしてみました。
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―おおまかな、中国と日本の歴史の流れ―
※あくまでえっらく簡単にまとめた表なんでー |
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◆ずいぶんとお粗末な表ですが、とりあえずこれを参考にしてみます。
さて……本作の舞台が７世紀にあることを示すポイントとなる人物が、１名ほどゲーム内に存在しています。敦煌の白馬寺で所在なげに暮らしている、玄奘がその人です。
「私が天竺に行ってきた時には〜」という台詞と、その名前から推測すると、彼こそが『西遊記』でおなじみの三蔵法師を模した人物であることが想像できます。
そこで、彼の旅行路を辿ってみましょう。629年に当時の王朝である唐の都・長安から出発した彼は、天竺（インド）に到達したのち645年に中国に帰着しています。
とすれば……彼は間違いなく７世紀の人物であり、この一人においては確実に７世紀を舞台にした世界だということが分かります。
とはいえ７世紀といっても、601〜700年までと、その始まりと終わりではずいぶんと長い時間が経過しています。
ならば、７世紀のどのあたりなのか？ ついでに、それも玄奘三蔵法師の行程から考えてみました。
彼は往路では敦煌の地に足を踏み入れませんでしたが（天山北路に進路をとった後、天山南路（西域北道）へ）、帰路（西域南路ルート）はたしかに敦煌へ立ち寄っています。
となると――あくまでこの一点に限れば、『SiLKROAD ONLINE』の時代設定は、A.D.７世紀、その中葉（中ごろ）の唐の時代……といったふうになります。
◆蛇足 ―― 消去法による考察
１．敦煌の西北約75kmの場所に存在する玉関門が建造されたのは、前漢のB.C.108〜B.C.107年の、武帝のころといわれる。ゆえに、これ以前の時代ということはありえない。
２．ゲーム内での敦煌城内北部に存在する白馬寺は、現実の白馬塔がモチーフであることが推測される。名僧として名を残す鳩摩羅什（くまらじゅう・クマラジーヴァ）が中国王朝に招かれて亀茲（クチャ）の地から敦煌にまでたどり着いたさい、愛馬が死んでしまったことから建立されたこの供養塔は、A.D.386年に建てられたとされる。よって、これ以前の年代がゲームの背景ということは考えにくい。
３．タクラマカン砂漠に存在するニヤ遺跡。彼らの文明が歴史上から姿を消したのは、４世紀ごろとされている。よって、これ以前の年代がゲームの背景ということは考えにくい。
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